NSDのDX戦略

NSDのDX戦略

取締役CDO(最高デジタル責任者) 高柳 寛樹

取締役CDO(最高デジタル責任者) 高柳 寛樹

新たな価値体験を創造する「観光DX」で、スノーリゾートの未来を拓くデジタルトランスフォーメーション

(DX)が社会のあらゆる領域で加速し、Society 5.0の到来を目前にした今、日本スキー場開発(NSD)は、この変革の波を新たな成長の機会と捉えています。私たちは、雄大な自然の中で得られるかけがえのない体験を、より多くのお客様にお届けするため、「観光DX」を経営の重要戦略の一つとして推進して参ります。

この目標達成に向け、NSDは取締役CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)率いる、デジタル戦略を統括する専門組織を新設しました。

お客様には、ウェブサイトやアプリを通じたスムーズなリゾートへのアクセス、事前予約やチケット購入の簡素化など、デジタル技術によって進化する利便性をご提供します。これにより、お客様一人ひとりのニーズに応える多種多様なチケットや、リゾート滞在をより豊かなものにするワンストップサービスを実現し、すべてのお客様とステークホルダーの皆様に新たな喜びと感動をお届けしてまいります。

同時に、企業としての持続的な成長と信頼性を確保するため、「守りのDX」にも注力します。強固なサイバーセキュリティ体制の構築や内部統制の強化を通じて、社是である「Happy Triangle」の実現を揺るぎないものとし、皆様と共に企業価値の最大化を図ります。

これらのDX推進により、私たちは新しい時代においても、世界中の皆様にNSDのリゾートの魅力を伝え、熱心なファンを増やし続けていきたいと願っています。

日本スキー場開発のDXが描く未来に、どうぞご期待ください。

NSDのDXの進み方

Society5.0時代の観光DXを実践

「守りのDX(Fit to Standard)」から「攻めのDX(Data Driven経営)」へ

Phase①

CDO(取締役)を直轄のデジタル戦略統括室を設置。“Fit to Standard”と“Cloud by Default原則”のもと基幹業務のデジタルプラットフォームを構成・運用各種データの正しい取得と適切な整理・保存・維持の実践による業務の効率化とDataDriven経営の準備。

Phase②

Phase①で整理さ・保管されたデータ資産(ビックデータ)を経営戦略立案のため、閲覧・分析する。

Phase③

Phase②の分析により立案された経営戦略を「現場」と「デジタル」を適切に融合して、Society5.0を前提に適切に実践する。

デジタル・マーケティングを適切に実施し、同時にUI(User Interface)の日々の改善により、より良いCX(顧客体験)を実現。

Fit to Standard業務を標準に合わせることで統制をとり効率化する考え方
Cloud by Default原則適切なクラウドサービスを利用し不適切な個別開発/個別保守などから脱する考え方
Society5.0サイバー空間と現実空間が高度に融合し、経済発展と社会課題の解決を両立する超スマート社会の概念
NSDのDX戦略連携俯瞰図
NSDのDX戦略

CDOが室長を務めCEOが直轄する「デジタル戦略統括室」を設置

デジタル戦略統括室の業務範囲(守りのDX / 攻めのDX)

  • 社内情報システムの採用判断・運用・維持(守りのDX / 攻めのDX)
  • NSD-DX基盤の企画・構築及び運用とグループ会社及びパートナーへの展開(攻めのDX)
  • IT統制全般(守りのDX)

デジタル戦略統括室のミッション

  • 社会全体がデジタルを取り入れ、現在のSociety4.0から5.0へアップデートされる中、観光DXを実践し、DataDriven 経営を実践することで、顧客やインベスタマーの来訪者体験(CX:Customer eXperience)を、主体的に高度化させるためのデジタル基盤を企画・構築・維持し、これによりデジタルレイヤーにおいても世界レベルのマウンテンリゾートに対峙させること。
  • 「守りのDX」をシンプルに実践し、上場企業として、将来の成長を積極的・効率的且つ安全に実践するためにIT統制を高度に実現すること。
NSDのDX戦略

守りのDX(Phase①)

守りのDX 概要

適切なリソース配分で、最も安全で効率的かつ拡張可能なデジタル環境の維持

Fit to Standard と Cloud by Default原則 の堅持

Fit to Standard(FtS)

  • 不要なカスタマイズを抑制し投資、費用、技術、運用でのリスクを最小化
  • 多くの企業に共通する“ベストな方法”をToBe業務とし、FtSでそのまま利用することで、当社業務も効率的かつ短期間で標準化
  • 属人化からの脱却と適切な内部統制の維持

Cloud by Default原則

  • ITインフラ管理からの解放と基幹業務システムによる事業継続性(BCP)の確保
  • 将来的なスケーラビリティの確保
  • モビリティを維持し、スピーディーな全社戦略の全リゾートへの展開
  • 適切かつ堅牢な統制とセキュリティの確保

クラウドサービス/選定基準

  • デジタルプラットフォーム/ツール選定において、認定/認証を採用基準とすることで、高いガバナンスとセキュリティの水準を担保。
  • SOC対応/ISMAP認証などの基準
  • サプライヤーの継続性の適切な評価
  • 第三者機関による評価
  • 取締役会での幅広且つ丁寧な議論

セキュリティ / ゼロトラストセキュリティの導入

Fit to Standardと第三者評価の実施

  • Fit to Standardによる高基準の各種セキュリティサービスの利用
  • 脆弱性診断 / 脆弱性スキャン
  • セキュリティレビュー
  • ITGC(IT全般統制)

デジタルベンダー(デジタルパートナー)の正しい選定と契約

  • 技術力の評価
  • 人員配置と規模の評価
  • プロジェクトマネジメント力の評価
  • 事業継続性 / サービスの継続性の評価
  • 継続的なベンダーの監督の実施(IT内部統制)
  • NSDのデジタル戦略の方向性の理解促進

デジタルリテラシー / ネットリテラシーの啓蒙(経営層 / 従業員)

  • 経営トップ及びCDOから全社への発信と丁寧な説明
  • セキュリティー教育とセキュリティトレーニング(インシデント対応訓練)
  • グループ各社・部署横串での議論と実践

これまでに採用しているクラウドサービスの一例

Amazon Web Services(AWS)/ Google Workspace / Microsoft 365 / kintone / TKC FXクラウド / LINE Works / SmartHR / Sansan など

NSDのDX戦略

攻めのDX(Phase②③)

観光DX:Society5.0を見越した社会への積極的な対応

  • デジタル前提社会の生活者であるお客様/株主様(インベスタマー)にとって、気持ち良く接することのできるCX(顧客体験)をデジタル戦略を通じて提供する。

観光におけるSociety5.0の重要性

  • 観光地を維持し、また、より魅力的にするために、混雑の解決や行き易さの改善を実現し、同時に地域社会への貢献(Happy Triangle)に資するデジタル戦略をData Driven経営で実践する。

グローバルスタンダードのEC基盤 を中核とした各種チケットのウェブ販売を強化

  • EC基盤をNSDで保有/改善/運用することで、自社の経営戦略に素早く対応することが可能。
  • チケットのウェブ購入比率は前年比で2023年7月期:195千人(前期比:93.2%)、2024年7月期:235千人(前期比20.6%増)、2025年7月期:298千人(前期比26.7%増)となり、2030年には100%のウェブ購入を前提に来訪者体験(CX)の観点でユーザーインターフェイス(UI)を整備。
  • マイナンバーカードなどの活用による、オンラインでのリフトチケットの柔軟かつ多様なプライシングの実現
  • デジタルマーケティングの適切な運用によりファンをつくり、ファンを増やす。(NSD Kids / 株主優待など)
  • 各種観光デジタルプラットフォームや各種SaaSと積極的なAPI連携。
  • DevOps(デブオプス: Dev(開発)+Ops(現場オペレーション))思想導入により、開発チームと運用チームが協力し、スピーディで継続的な改善を図る。

指標について:チケットのウェブ購入比率 = EC基盤での総購入枚数÷総販売枚数|対象範囲:EC基盤を導入している各リゾート|更新頻度: 年1回の集計と見直し

株主優待の電子化によるインベスタマー向け施策の実現

  • EC基盤と連動した株主優待の電子化
  • リゾートのファンが気軽に株主になれるデジタル環境の構築と維持
NSDのDX戦略

DX(Phase①②③)

NSDのDXが寄与する事業領域

アライアンス / コンサルティング事業 / NSD Kids

  • NSDが企画/構築/習得した「観光DX」のノウハウとシステムを提供することによる、パートナーリゾートの業績貢献。(NSD Kidsの展開など)

人員配置の適正化

  • ゲートシステムとEC基盤の組み合わせによりCXを向上すると同時にゲートの無人化に伴う人員配置の適正化も同時に実現(ハードウェア=ロボティクスも組み合わせた観光地域でのDXの実現)。

デジタル・マーケティングへの対応

  • 無記名チケットからウェブ購入による属性データベースの構築により個別のお客様にパーソナライズドされたサービスが提供できるため、CX向上によるリピーター、ファンの増加にも寄与。
  • 時間券など多種多様な券種の導入。
  • ダイナミックプライシングの実現。

グループ横串での戦略展開

  • NSDグループ各リゾートの個性をより発展させつつも、グループ戦略を横串で展開することが可能
  • 海外リゾートとのシステム連携によるグローバルリゾートの育成に貢献
  • より細かなインバウンド戦略をグループ各リゾートへ提供

ハードウェアとソフトウェアの連携(IoT機器とデジタル基盤の連携)

  • 世界基準でIoT化するマウンテンリゾートを支える重機(ゲート、索道、造降雪機、監視カメラ、気象センサー、POSレジ等)とNSDのデジタル基盤をデータ連携しリゾート運営全体の見える化を促進。安全対策にも寄与。